要は夢と現の間にあるというだけで、何ら超常のことではない、と分かってはいても、いざとなると生々しい恐怖があり、必死で抜け出そうとしてしまう。一度覚醒しても、また眠りに落ちかけると同時に金縛りになるので、こうなると寝るのが不安になってくる。厄介なものだ。
かつて、さかんに金縛りに遭っていた時期がある。慢性的に不摂生だったのだろう。あまり頻繁だとさすがに慣れてしまい、割合冷静に状況を楽しんだりしていた。
その頃、金縛りに伴って現れる幻覚としてよく繰り返されたのは、枕の周りで多数の子供の笑い声がする、部屋中をどたどたと荒々しく駆け回る足音が聞こえ、床の振動も感じられる、誰かが部屋のドアを開けて段々近づいてくる気配がする、などだった。概ねありがちな妄想というところだ。
今回はそんな観察をする余裕がなく、主に混沌とした印象だけが残っている。窓を外からガチャガチャと開けようとする音が聞こえたこと、布団が引き剥がされる感じがしたことは覚えている。
明かりのある方を向けば目がさめるだろうと思い、全力を振り絞ってそちらを見たつもりが、あるはずの明かりが消えている。これも中々面白いと思う。目を開いている気になっているが実際には閉じていたり、あるいは首が思った方を向いていなかったりするのだろう。
そんな落ち着かない眠りであったせいか、或いは単にまだ睡眠時間が足りていないのか、今朝も起きると体に力が入らず、どうしようかと思ったが昨日よりは随分ましだ。
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