2013年8月30日

秘祭: day 2 of 3,《供犠》

日曜。午後六時ごろ新宿東口にて集合、歌舞伎町の「めだか」にて総勢八名の宴となる。

蒲田の漫画喫茶にて夜を越した S氏、N氏に、どうでしたかと訊ねると、「最低でした」との答えだった。仮眠を取るのにはあまり向かない構造であったらしい。

一方、徹夜後に早朝の散歩へと出た Y氏はというと、皇居の辺りを歩いた後、電車内で二時間ほど睡眠を取ったくらいで、そのまま昼餐会にも参加していたそうだ。人々の体力に驚く。

店に入り、エレベーターにて重量超過など引き起こしつつ、三階に席を占める。頭上の棚に荷物を上げたところ、他の参加者から口々に
「棚があったのか」
と言われた。池袋に「小池」という店があり、この「めだか」の系列店と思しいが、同じく席の上に荷置棚を吊ってある造りであった。考えてみれば奇抜なのかもしれない。

乾杯の儀が執り行われるが、改まった自己紹介などはなく、僕は一応誰が誰であるか把握していたのだが、左隣に座っていた Ntk氏は、また二つ左隣の S氏に、
「今日、千田さんはいらしてないんですか?」
と訊ねていた。中々のカオスである。

この日は漸くにして N氏とアナライの物語談義を設けられたのであり、成すべきことが成されたという観がある。尤も、僕は多少席が離れていたため、詳細は全く聴き取れなかったのが惜しまれる。なにしろお酒が入ると全く耳が遠くなるのでいけない。

離れた席で酔っぱらってなにをしていたかと言うと、流石に少し疲れ気味の Y氏に、「蕎麦とうどんはどちらが SF であるか」などの取り留めのない質問を投げかけて苛んでいた。隣になった M氏からは「ようかんは SF でしょう」との意見が出たが、それはクラーク=クーブリックのお墨付きであるから、反則である。

善きところで解散。翌日は十一時に秋葉原集合であるらしいことをぼんやりと聞く。

2013年8月27日

秘祭: day 1 of 3,《降臨》

土曜、予期していたより早くに所用を終え、北海道からN氏を迎えるべく羽田に向かう。国内線ターミナル駅にてS氏、Y氏と合流、「出会いのひろば」にて飛行機を待つという出会い厨行為に及び、午前一時ごろN氏との初対面を遂げた。

僕一人が夕食を摂っていなかったので、独断専行してターミナル間バスに乗り込み国際線ビルへ。国内線ビルの店舗はあらかた閉まっていたのだが、国際線の方は長旅の客や時差に配慮してどこか開けているだろう、との情報に従ったものである。

果たして食堂めいたものが開いていたが、どちらかと言えばタクシーで蒲田へ出てしまった方が良くはないか、とのY氏の意見があったので、これに雷同し、タクシー乗り場へと向かう。

N氏も東京に降り立ったと思うや空港内をあちこち引きずり回されて難儀だったろうと思う。実に申し訳ない。

四人してタクシーに乗り、蒲田駅へ遣ってもらう。思いのほか早く到着し、運賃は二千五百円であったか。なお、事前にネットで検索した国内線ビルからの運賃は六千円弱だったのだが、あの数字は一体なんだったのかと、些か呆然とした。

漫画喫茶かファミレスの類で始発まで時間を潰す、という兼ねての計画に従い、店を求めてさまよい始めるが、如何せん飲み屋ばかりが並んでおり、なかなかファミレスが見つからない。近辺の地図を検索すると、ジョナサンとクイックガストがあることが判明した。

この二者ならばジョナサンだろう、とS氏が言うのに対して、「クイックガストというのはどういうものか見てみたい」と強固に主張し、駅方向へ少し戻って店構えを確認した。なるほど長居する環境ではない、と納得し、踵を返してジョナサンに向かう。

N氏も漸く市街部に到ったと思うや深夜の商店街をあちこち引きずり回されて難儀だったろうと思う。実に申し訳ない。

ジョナサンにて、僕は「タンドリーチキンとメキシカンピラフ」なるメニューを取り、N氏、S氏がドリンクバーを頼む。Y氏はと言うと、
「ここはやはり…… 飲酒でしょう」
との力強い言葉と共にビールを注文していた。さすがと言うほかない。

僕もビールを頼みました。

ちなみに、「タンドリーチキンとメキシカンピラフ」については、なかなかおいしかったことを報告しておく。しかしチキンの味が濃いところに、ピラフにもかなりしっかり味付けがされており、その時の気分からすると少しくど過ぎた。あるいは、タンドリーチキンから、サフランライスの様なものを連想してしまっていたための不協和であったかもしれない。

つまり、総じておいしかったのではないか、という気がする。これを以て、改めて僕の味覚が当てにならないことの参考とせられたい。

その後は午前五時頃まで歓談。N氏とS氏がドリンクバーをおかわりする横で、Y氏と僕は
「ゴミワインおいしい!」
「ゴミワインおいしい!」
と190円のワインで杯を重ねていた。ひどい言い草だと思う。

交通機関が動き始めたということで店を出て、Y氏と僕は蒲田駅へ。明けての昼餐会が新宿にて執り行われる予定と聞いてはいたが、体調を整えるため一旦帰宅させて貰うことにした。N氏はカプセルホテルに一泊の予定を入れているが、チェックインがまだ先なので、とりあえず、商店街に見出された、やや胡乱な漫画喫茶にて休息を取るとの由。S氏もそれに付き添うというので、ここで一旦分かれる運びとなる。

蒲田にて列車に乗り込むと、やおらY氏が
「朝の東京を散策したくなりました。ですので、ビビッと来たところで降りて歩きます」
と宣言した。夜を徹した後で、壮健なことだなあ、と感心する一方、なんか発想がアナライのやつに近いぞ、とも思われ、複雑な気分になる。

結局Y氏は有楽町にて下車。その後は僕一人であるから、ただ黙々と電車を乗り過ごして無事帰宅したまでで、取り立てて書くべきことはない。