2013年9月27日

電気鯨

Twitter で Y氏が『白鯨』を読んでいるのに触発され、死蔵していたのを読み始めた。

語り手イシュマエルというのが、どうやら教師をしているらしい教養人なのだが、気分が憂鬱になってくると船乗りになって海に出るのが常であるという、なんだか訳の分からない人物である。しかも冒頭で文無しであることを宣言している。

教師が文無しになって、ふらっと捕鯨に出かける。やっぱりちょっと変な話なんじゃないだろうか。

読み進めるのが遅いので、漸くエイハブ船長の名前が言及されたところなのだが、港までの道程で宿を共にした蛮族の王子との親密な友情であるとか、元船乗りの説教者による航海用語まじりのヨナ記講話、やたらに個性の突出した二人の船主など、未だ船も出ないうちから不思議に満ちた話で、この先が楽しみだ。

とりあえず僕が噂に聞いて知っているのは、このエイハブ船長というのが、モビー・ディックという鯨にほとんど偏執的な怨恨を抱いており、それが物語の中心となって行くらしい、ということであって、その中で語り手がどういう立場を取るのか、そしてどの様な結末を迎えるのか全く知らない。聞いたことがある気もするが忘れた。

ついに仕留めたモビー・ディックが実は電気仕掛けのロボット鯨で、相討ちになったエイハブ船長も、記憶を移植された精巧なアンドロイドであった、というのはどうか。

それは違うほうのディックである。